公務員の仕事は、「美観」がものすごく重要視される。
その文化は文章を書くとき、顕著に出てくる。
たとえば、「〜です。〜です。」というように、文末が続けて同じ表現になることを嫌う。
ほかにも、最後の一文字だけが次の行にいってしまうことがよくあるが、これもNG。
あと、「○○の△△の」というように、同じ助詞が続くのもよくない。
数字は、1桁なら全角、2桁以上なら半角。
公務員的ルールに適さない表現が出てきたときは、当然、修正が必要。
内容を変えないように言い換えをすることで、文末や助詞、文字数を調整していくのである。
これは簡単そうに見えて、意外とむずい。
大体の場合、一部だけ言い換えればいい訳ではなく、割と大掛かりな改修工事が必要になる。
言い換えにも限界があるし。
何度、「○○ 言い換え」で検索したことか。
そして、この作業に何時間も費やす。
上司の指摘を反映させ、ラスボスの幹部職員に見せると、何時間もかけて作った文書が真っ赤になって返される。
そこにあるのは、もはや趣味の世界。
なんの意味があるのかと、毎回モヤモヤする。
ただ、同じ表現の文末が続いたり、一文字だけの行ができたりするのは、確かに気持ち悪いのはわかる。
けど、公務員は新聞社のような報道機関ではない。
正しい内容を誤解なく伝えることができれば、見た目にこだわりすぎるのはいかがなものかと。
文章の美観にこだわって、本当に言いたいことが、まっすぐに言えない状況さえある。
文字数を調整するために、素直な表現をねじ曲げている。
しかし、
見た目が美しくなければ、公務員的文章は完成しない。
「公務員は物書き」と言われるくらい、めちゃくちゃ文章を書く。
そして、そこで最も大事なことは、スピード感でもなく、内容でもなく、体裁の美しさ。
この絶対ルールに慣れるところから、公務員の仕事は始まる。
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