こんにちは!
元公務員ライターの ikemi(@ikemi_writer) です!
本記事に興味をもっていただいたあなたは、こんな疑問を持っているのではないでしょうか?
現場で必要な知識を入庁前に身につけておきたい!スムーズなスタートダッシュを切りたい!
「決裁」っていう言葉をよく聞くけど、どういう意味かわからない・・・。みんな当たり前のように使って、詳しく説明してくれないし。。。
公務員であれば、1日に1回以上は「決裁」という言葉を耳にしますし、慣れてきたら口にするはずです。
小難しそうな単語なので、私もはじめて聞いたときは「は?」って思いましたねー。なつかしい。
ただ、公務員の仕事は「決裁」がないと前に進みません。
「決裁」がないとなにも行動できないのです。
また、どれだけスマートに「決裁」を得るかによって、自分の評価が大きく左右されるといっても過言ではないでしょう。
しかし、当たり前のことであるからこそ、「決裁」の意味を詳しく教えてもらえず、不安を感じてしまう新人職員も少なくありません。
そこで今回は、公務員の必須知識「決裁」について詳しく解説していきます。
決裁=上司の同意を得ること
組織である以上、なにか新しいことをするときには、上司の同意を得ることが必要です。
役所ではこの同意のことを「決裁」といいます。(民間企業では「稟議」と呼ばれることも)
では、シンプルに何か物を買う時のことを考えてみましょう。
現場では、以下のようなことについて、決裁(=同意)をもらいながら進めていきます。
物を買うときに必要な決裁
- 〇〇を買っていいですか?
- 見積を株式会社□□に依頼していいですか?
- 見積をとったらだいたいの費用が把握できたので、今度は他の会社からも見積をとっていいですか?
- 複数社から見積をとったら△△が一番安かったのでそこで買っていいですか?
- 請求書が届いたので、支払いをしてもいいですか?
- きちんと支払いをしたので確認してもらっていいですか?
どうでしょうか。ものすごく面倒くさいですよね・・・。
何個かまとめて決裁を得る方法もありますが、一つ一つの行為に決裁(=同意)が必要であることには変わりません。
当然、もっと細かく決裁をもらわなければならないこともありますよ。
決裁を得る方法
では、どうやって決裁(=同意)をもらうのかというと・・・
紙文化がいまだに根付いている役所では、紙にハンコを押してもらう=決裁を得るというルールがあります。
「○○してもよろしいでしょうか」と書き込んだ文書を作成して、必要な資料をつけて、同じチームの職員に渡します。(決裁を得るための文書は、作成するための専用システムがあります)
受け取った人は、内容を確認し、問題ないと考えれば押印します。
そして、その決裁文書が職階順に偉い人たちへと渡っていき、最終的に課長までたどり着いて、課長がハンコを押せば、やっと行動に移すことができるのです。
ちなみに、最後のハンコを押す人、つまり、GOサインを出せる人は「決裁権者」と呼ばれ、金額や内容によって変わってきます。
誰を決裁権者とするのかを調べることは、現場でもよくあるので覚えておきましょう。
ただ、上の例で示したように、決裁権者に該当するのは課長であることが比較的多いかと。
なお、今は全国的に「電子決裁」が推奨されるようになってきています。
パソコンの画面上で資料を見てもらい、ハンコではなく、承認ボタンを押してもらうことで決裁が得られる仕組みであり、紙の節約にもなるし、すべてがオンラインで完結するので非常に合理的。
ただ、10年以上前から電子決裁システムが導入されているのですが、地方の自治体では大半の職員が今だに紙を使っています・・・。
紙の方が見やすい、よく見てもらえる などの理由があるようです。
こういうところに「時代遅れな公務員」が垣間見えますよね。(そういう自分も断然「紙派」だったのは内緒ですが)
ちなみに、国では電子決裁が浸透しているようで、同じ公務員でも国と地方では順応力の差が顕著に現れています。
ただ、ここ数年に関しては、コロナ禍でテレワークが増加したため、地方の役所でも電子決済はさらに普及したはず。
今後、電子決済が主流になっていくことはほぼ間違いないので、そういう仕組みがあることは覚えておきましょう。
決裁は決して無駄ではない
ほんのささいなことを決める際にも、「決裁」は必要です。
また、一つの決裁のために数十枚の資料を作ることだって普通にあります。
では、「決裁」って時間と労力を消費する無駄なものなのかというと、そうではないんですよね。
例えば、公務員の仕事をしていると、数億円を動かすことも珍しくありません。
「その内容で、その相手に数億円を支払っても問題ないのか。」
担当者一人の責任で判断できますか?
無理ですよね。怖いですよね。
自分の考えが本当に正しいのかどうか、たくさんの目で確認してもらうのが「決裁」なのです。
何度も資料を修正したり、ときには一から作り直したり・・・案件の重要度によっては、決裁を得るまでに何日もかかってしまうことも珍しくありません。
でも、もしその作業がなかったら、誤った判断をしてしまうかもしれないのです。
さらに、決裁に関するルールは「事務決裁規程」に定められています。
◯◯円以上の支出が見込まれるときは課長だけじゃなくて知事まで決裁を得る必要があるとか、大した内容でなければ課長の代わりに課長補佐がハンコを押してもOKとか。
そして、「規程」というのは職員の行動を拘束する力があるので、そもそもの決まり事として決裁は必要なんです。
もし怠れば、なんらかの罰をくらってしまいますよ。
〇〇県事務決裁規程とか〇〇市事務決裁規程という名称でネットから見れることもあるので、一度、あなたが働く自治体の「事務決裁規定」を調べてみるのもいいでしょう。
決裁に関する注意点
日常的に行われる決裁ですが、かなり重要な作業であることを忘れてはいけません。
ここからは、決裁に関する注意点を解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
決裁には少しのミスも許されない
決裁は、自治体が行った意思決定の証拠になるもの。
例えば、「本当に知事が認めた事業なのか!?証拠を見せろ!」と、住民からクレームがあったとしましょう。
情報公開されると、決裁で使用した文書を見せる必要があります。
そのときに正確に処理していれば、知事のハンコが押されている文書を堂々と見せることができるのです。
決裁文書は1日に何度も作成するようなものなので軽視されることもありますが、ミスの許されない重要書類だと認識しておきましょう。
なので、自分のところにも毎日、複数の書類が渡ってきますが、間違いがないかどうか丁寧にみてあげることが大切ですよ。
最初のうちは、なんとなく眺めてハンコを押したので問題ない(仕方ない)ですけどねー。
新人は小さい印鑑を使おう
県庁職員は全員、基本的に「決裁」に使うための印鑑を持っています。
入庁初日から使うこともあるので、必ず事前に用意しておきましょう。
しかし!
一般的な印鑑であればなんでも構わないのですが、一つだけ注意が必要。
大きな印鑑を使用するのは厳禁。
上司より大きいサイズの印鑑は使わない方がいいです。
本当にどうでもいいことなのですが、「大きいサイズの印鑑を押せるのは偉くなってから」「部下が上司より大きい印鑑を押すのは失礼」と考える古い人間がいまだに存在しています。
ですので、若手のうちは印鑑にこだわるのは控えておいた方が無難です。
100円で購入できる12mmサイズを選んでおけば問題ありません。
また、1日に何度も押印するため、いちいち朱肉をポンポンとつけて押していては手間がかかります。
なので、最近はワンタッチで押印ができる印鑑ホルダーを使っている人が多いです。
いろいろ種類があるのですが、どれも機能に変わりはありません。
通販サイトのベストセラー商品を選んでおけば間違いないでしょう。
私も使っていましたが、一度使うとやめられない。
100円の印鑑を差し込むだけで使えるので、めちゃくちゃ便利です。
まとめ:決裁は公務員として最初に学ぶ超重要知識
では、本記事のまとめです!
◆一つ一つの行為に「決裁」が必要
◆文書に上司のハンコを押してもらうのが決裁の方法
◆決裁に関するルールは「事務決裁規程」で定められている
◆決裁は重要書類なのでミスは許されない
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